メッツ・メソッド

1.組織の望ましい姿と、“変化適応”の重要性。

 事業の命題は永続にあります。起業をしたら、その事業を発展させ、できるだけ永く続け、多くの関係者の期待に応え、喜ばれ、社会的な役割を果たすことが重要です。

 しかし、今日の経営環境は、事業を安定的に継続させ、利益を上げ続けることは、大変困難と言わざるを得ません。事業を安定的に発展させるには、どうしたらよいのでしょうか。

 あらゆる事業に共通して言えることは、“変化に適応する組織をつくる”ことが必要だ。と言うことです。変化に適応する柔軟かつ強靭な組織をつくり、自らを変化させ続けることが、事業を永く続ける条件だと言えます。

 今日の事業の難しさは、変化への適応にあります。経営環境が変化する毎に、戦略を見直し、事業計画を変更し、業務の再設計をして、人材を育成しなければなりません。

 変化がゆるやかで、予測が容易ならば、適応のための改革は間に合います。しかし、今日の環境変化は、あまりにも急激で予測が困難です。環境適応の遅れによって、組織は、競争力を失い、業績が低迷し、事業が破たんするといった、結果を招きます。

 厳しい環境に晒されて生きているのは、企業だけではありません。生き物の世界でも同じです。古代から永く生きながらえている多くの『種』は、環境の変化に適応することで、生き残ってきました。ある生き物は姿を変え、ある生き物は住みかを変え、ある生き物は体の機能を変えて。環境に適応したものだけが進化し、生き続けているのです。

 “事業の永続” が命題であり、“環境適応”が事業の課題です。事業の継続には適正な利益が必要です。“利益を上げるための、変化適応(=組織改革)”が、具体的な取組み課題となります。

 “環境に適応できる組織をつくる” ことは簡単ではありませんが、方法(メソッド)があります。 その課題解決方法の一つが、組織開発です。

2.組織開発とは、何か。

 組織開発とは、“環境の変化に適応できる、健康な組織をつくる”手法です。健康な組織とは、組織で働く人たちが組織の問題を発見し、組織で働く人たちが問題解決を考え、組織で働く人たちが問題解決を実行し、成果を上げることができる組織です。組織開発は、組織や個人の自律性を重視しています。組織が自律と自浄能力を備えることで、環境変化に適応し、事業が永続すると考えます。

 組織開発は、比較的新しい研究分野で、関連する領域が広範なため、包括的なノウハウが確立されているとは言えません。多くの研究者、実践家が、日々研究を重ね効果的な手法を開発しています。

 企業再生の手法は、多々あります。しかし、組織開発は、組織の活力を生み出し、自らの力で改革を進めようとする点が、大きな特徴です。組織開発は、働く人々の知恵や実行力、モチベーションを重視します。組織開発のコンサルティングは、改革の過程を支援する手法であり、経営指導によって、組織を改革する手法ではありません。

3.なぜ、組織改革はうまくいかないのか。

 組織開発の手法を活用したからといって、必ずしも成功するとは限りません。これまでの組織開発がうまくいかない理由の一つは、“部分改革” に終始し、全体の適合に対する計画がなく、組織の相乗効果(シナジー効果)が活かされていないためです。

 組織開発の具体策として、戦略策定や制度改革、社員教育などに取り組むケースがありますが、多くの組織開発は、“部分改革”に終始しています。 “部分改革”が、組織全体に及ぼす効果は、限定的であるか、または逆に組織の効果性を低下させているケースも少なくありません。組織活動は、部分が相互に影響を与えながら、成果を出しているものです。

 大企業ほどその傾向が強いと言えます。その理由は、硬直化した縦割り組織によって、担当部署同士の横断的な話し合いが進まず、全体観の共有ができずに組織開発を進めるためです。また、手段と目的が逆転してしまうこともあります。“目標達成”が目的なのに、手段である“改革”が、目的となっているケースです。そのため、改革は計画通り実行されたが、目標が達成できないという結果となります。

 組織開発がうまくいかない理由の二つ目は、働く人の納得が得られないまま改革が進むためです。トップダウンの改革は、スピードは速まりますが、事業の継続に不安を残します。事業の成果は、よい過程から生み出されるものです。結局、働く人の納得感や自主性、責任感が伴わなければ、事業は安定しませんし、決められたことさえ守らない組織になってしまいます。

4.METS method による組織開発と進め方。

 さて、ここで弊社が行っています“メッツ・メソッドを活用した組織開発”を、ご紹介します。

 メッツ・メソッドとは、弊社オリジナルのMETS modelを使った組織開発の進め方です。これまでの組織調査活動や“部分改革”の実践から発展させ、開発した方法です。

 組織は、ある目的のために関係者が集まり、効率的に仕事を進め、目標を達成する仕組みです。 これまでのコンサルティングの実践から、組織活動には、共通の要素があることがわかりました。それは、組織には、組織活動を話し合い、意思決定する場があり、仕事に必要な能力の向上が必要で、仕事を進めるために道具を効果的に使い、効率的に仕事を進める仕組みがある、ということです。

 弊社では、この要素をメッツ・モデルとして4つにまとめ、組織開発を進めるツールとして開発しました。メッツ・モデルは、組織活動を効果的に行うには、次のことが重要だと考えています。

 組織が目標を達成するためには、①市場の状況に合った事業戦略と具体化された事業計画を推進する会議(Meeting)、②業務遂行能力の向上(Education)、③業務を高品質で標準化させる道具(Tool)、④効率的な業務の仕組み・制度(System)が必要であり、これら4つの要素のシナジー効果によって、最大の成果を得ることができる。

 4つの要素の頭文字をとってMETS model(メッツ・モデル)と呼んでいます。

 メッツ・メソッドは、全体観をもって4つの要素を計画的に順次改革し、組織活動の効果性を高める方法です。

 メッツ・メソッドには、様々なパターンがあり、クライアントの組織状況によって柔軟に対応しています。活用パターンは、メッツ・モデルの頭文字を列挙して、表現します。例えば、M-S-T-Eという表記は、よい会議を行い、効率的な業務設計をして、業務に必要な道具を開発し、道具の使い方を訓練し、成果を出す、といった具合です。部分改革で大きな成果を出そうとせず、影響を与えあう他の要素と関連させた一気通関の改革を行い、相乗効果を高めます。

 また、メッツ・メソッドのパターンには、2つの要素や3つの要素の組み合わせもあります。 2つの要素で6パターン、3つの要素で3パターンあります。例えば、S-Eなら人事制度とリンクした教育研修の実施。E-M-Tなら、会議の進め方を学んだ後に、効果的な会議を行い、道具を開発する、といった具合です。

 本来は、4つの要素を順次改革することによりシナジー効果を生み出す進め方が最も効果的と言えますが、組織内部での自律的な取組みとコンサルタントとの役割分担により、効率的に組織開発を進めることが可能です。全体の組織開発計画を共有しながら進めることがポイントです。

 メッツ・メソッドは、組織改革の過程を支援する手法ですので、業種、業界、組織の大小を問いません。基本的な進め方は、現状をヒアリングした上で、ニーズを確認し、基本設計をご提案します。その後、調査を行い報告と詳細設計のご提案となります。