人材の優秀性の思い込み。

 研究者、技術者の不正や犯罪が目立つ。研修の対象者なので、一言、言いたい。研修と言っても、テクニカル・スキルではなく、ヒューマン・スキルとマネジメント・スキルを担当している。

 一般的に彼らは、“高学歴なので優秀”というイメージがある。学力が高いため知識が豊富で技術に長け、努力を惜しまず、論理的考え、粘り強く仕事を成し遂げる。

 しかし、失敗の本質はとてもシンプルで、“優秀な人材”のイメージとはかけ離れている。個人のモラルや善悪の判断能力やチームの対人関係上のエラーが原因であることが多い。

 技術者像には、“人間性の偏り”を肯定的に捉える風潮がありはしないか。それを心地よい自分の居場所と勘違いして、集まる人材が多くはないか。

 “それは、いいことではない。”技術開発競争が、激化するほど“人間性”が問われるようになる。従来のように、“ちょっと変わった一匹狼”が活躍できる時代ではないのだ。

 チームで協力して情報を共有し、効率的に仕事を進め、短期間で成果を上げなければならない。そのチームをリードするリーダーや、管理をするマネジャーが不可欠だ。

 そのためには、彼らが“避けたがる”ヒューマンスキルやマネジメントスキルの習得が課題だ。グローバリズムが進むと、外国人のマネジャー、リーダーに日本人の勤勉なメンバーという構成が増えるかも知れない。

 役割だから、“それで、いいじゃないか”と言うかも知れないが、コントロールする側とされる側では、権限と評価が全く違う。権限を行使して成果を上げ、評価を得る。みんなで頑張った成果という評価基準はない。

 バランスのとれた技術者や研究者の育成には、OJTが不可欠だ。身近にお手本がいないなら、Off・JTしかない。SDは、あまり期待できない。SDは、ヒューマンスキル、マネジメントスキル向きではないからだ。

 高学歴で知識や技術をもった人材が必ずしも優秀とは限らない。人の上に立って大きな成果を上げるリーダーとなるとは限らない。どの分野であってもバランスのよい人材が、組織や社会に大きく貢献する。

 本当に優秀な、世界で通用する技術者の育成を諦めるな。

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