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みんな、何かの専門をもっている。
コンサルタントの仕事を理解するために、テーラー(仕立て屋)の仕事を例に書いています。
紳士服をオーダーメードで仕立てる職人は、幅広い専門知識と高度な技術を使っています。 基本的な縫製技術やミシンの使い方を熟知しており、手縫いによる細かな仕上げの技術も使います。生地の特性に応じたアイロンの使い方も専門的な技術です。
一着のオーダーメードの服を仕立てるには、デザインに関するセンス、生地や素材選びの知識、ハサミやミシン、アイロンなどの道具の使いかた、縫製や手作業の技術などが必要です。
多くの知識と技術の習得には、相当な時間が必要なので評価の高いテーラーが年配者であることは想像できます。総合力が求められるプロのレベルです。
私の仕事では、人事制度のマニュアル作成が似ていると思います。
調査・報告会によって同意を得たコンセプトに基づき、制度設計はマニュアルの形にして納品します。マニュアルの仕様にしたがい、デザイン、フォント、用紙サイズ、レイアウト、小見出し、イラスト、パソコン操作(パワーポイント)といった知識と技術をつかいます。
最も重要な知識は、人事制度に関する知識ですが、評価者や被評価者の皆さんが読みやすい文章を書く表現力も必要です。
私が、制度コンサルティングで重視している点は運用です。規則や規程に間違いがないことは重要ですが、制度は運用しなければ何のメリットもありません。社員の皆さんが使える制度であることが重要なのです。
人事制度運用マニュアルは、「使いやすい制度」が「わかりやすく」書くことが重要です。
【制度職人:新井陽二】
あなたは、目標を決めることができますか?
目標管理制度をつくり、運用段階に入ると課題が見えてきます。最大の課題は、「目標を決められないこと」です。目標管理マニュアルには、目標管理の考え方、目標の定義、目標設定の手続き、目標管理シートの書き方、評価の計算式など「目標管理の運用方法について」書きます。
私の制度コンサルティングは、制度設計の後に必ず運用教育(研修)をおこないます。
マニュアルを教材に研修をおこなうのですが、各部門、部署、社員個人の目標は、会社や所属長がつくるものです。
目標管理では、社員一人一人が自主的に目標を考え、所属長と面談のうえで決定することを推奨していますが、これがうまくいきません。
評価者研修の段階で、部署の目標、部下の目標が設定できない、という事態が起こります。(実習をやればすぐわかります)
もちろん、適切な目標設定は、過去実績や傾向分析、市場調査のうえで精査して決定する必要があります。また事務・管理部門も事業計画に基づいて会議による部下の同意が必要となる場合もありますので、一概には言えません。
少なくとも研修で決めることではありません。(それ以前の話です)
「私の部署の目標とは、何ですか?」「私の部下の目標はどれくらいが適当でしょうか?」それ、講師に聞きますか?という話ですが、実際の話です。
私は、評価者研修で「あなたは、これまでの人生でどのような目標を立てましたか?」という課題討議をしました。W.Bを見て回ると、ほとんど書けていません。
学校の受験や趣味、スポーツ競技などなんでもいいのですが、40代、50代の人たちが自分の目標を立てた経験がない。(目標が分からない原因は、これなのでしょうか?)
会社に入ってから上司の指示に従い、自分の目標を他者に決められて働いてきた会社員人生。あまりにも長く、「言われたことを、どう処理するか」ばかりを考えてきた人生。「何をするか」「どこまでするか」を考えずに生きてきた人生。
評価者になったからといって、できるわけではないようです。
目標管理マニュアルに、「あなたの部下の目標は、これです」とは書けません。せめて、参考になる「例え話」を掲載するぐらいです。
制度や手続き、目標管理シートに問題があるとは思いません。やはり制度を使いこなす運用力が不足しています。制度を使いこなすための「教育」で対応することになります。
人事制度の導入、改定は「制度」と「教育」のセットで進めましょう。《続く》
【制度職人:新井陽二】
コンサルタントに必要な能力とは。
わからないこと、知りたいことは、検索すれば直ぐに答えを得ることができます。とても便利な時代です。仕事をするうえで知識はとても重要です。
「コンサルタントに必要な能力は、何ですか?」と検索すれば、AIがいくつかのスキルをわかりやすく示してくれます。
その知識はコンサルタントになる前の勉強としては有効ですが、コンサルタントになってからは、特に役に立ちません。
コンサルタントは、誰でも名乗れますが、独立して職業として続けることは大変困難です。コンサル会社に勤めてコンサルをやることは、会社員が人事異動でその部署の仕事を覚えてやっているようなものです。
コンサルタントに必要な能力は、「自分で考えて、答えを出す力」です。
VUCA時代は、誰もが正解を求めます。だから、コンサルが求められているのですが、クライアントは同じようにAIにも答えを求めます。
コンサルの答えとAIの答えが同じなら、どうでしょうか。無料のAIと高額なコンサルの答えが同じならどちらを選ぶでしょうか。
あなたは、自分が出す答えに自信があるでしょうか。これまでたくさんの勉強をしてコンサルになったあなたは、「自分の答え」を自信をもって提示できるでしょうか。
「この調査データによると、最適解はこれです」「このモデルから導き出せる正解は、これです」それが、コンサルタントの答えならリピートはないでしょう。
あなたが調査して分析して、考え出した答えは「あなたらしさ」がなければコンサルタントとしてやっていけません。そこに人としてのコンサルタントの唯一の価値があります。
評価されればリピートの可能性があり、「ありきたり」と判断されれば「お疲れさん」で終了です。《続く》
【制度職人:新井陽二】
あなたは、コンサルタントになりますか?
コンサルタントを目指すことは、キャリアの選択肢として重要です。あらゆる業種、仕事においてキャリアの最終形態はコンサルタントではないでしょうか。
仕事を長く続ければ専門性が高まり効率が上がり、大きな成果を上げるようになります。会社に勤めて上司の指示で働き、成果を出す仕事とコンサルタントの仕事は違います。
向き不向きはありますが、仕事ができる人にはコンサルタントの資質とコンサルタントへの転向の可能性があるでしょう。イコールではありませんが、コンサルタントとして活躍できる可能性が高いでしょう。
経験を活かしてもっと大きな仕事をする、もっと高額の報酬を得る、もっと多くの人に感謝されたいなら、コンサルタント的な仕事のやり方に変えていく必要があるでしょう。
今の時代、経験豊富な会社員の皆さんは、キャリアの終盤を真剣にお考えなのではないでしょうか。
《続く》
【制度職人:新井陽二】
コンサルタントは、上手に使いましょう。
服の仕立て屋であるテーラーは、単なる技術者ではなくファッションアドバイザーとしての役割も担っています。依頼主として満足を得ようと思ったら、自分が求めているものをよくわかっていることが大事です。
依頼主の要望が明確であれば、腕のよいテーラーは忠実に働き、望みの服をつくります。
コンサルティングの難しさ、重要なことは、依頼主のニーズを明確にして共有することにあります。実際には、依頼主自身が「自分のニーズを自覚していない」「あいまい」なことが多いです。
経験豊富なテーラーであれば、お客様のライフスタイルや職業、体型の特徴を理解した上で、最も似合うデザインや色合いを提案します。
依頼主は、テーラーと話しながら「自分が望んでいることに気づく」ことになります。有能なテーラーは、流行に左右されすぎない、長く愛用できるデザインを心がけながらも、お客様の個性を活かした独自性のある仕上がりを目指します。
生地選びにおいても、季節感や用途、お手入れのしやすさなど、様々な要素を考慮したアドバイスを行います。
コンサルティングの初期段階で誤診(間違ったニーズの把握)があり、依頼主とボタンの掛け違いがあると後々、トラブルが起きたり依頼主の不満につながります。
コンサルティング不評の原因は、成果の不一致です。依頼主が望んでいることとコンサルタントが提供するものに差異があれば、クレームになるのは当然です。
依頼主が「言った」「言わなかった」「こちらは、確認した」は、コンサルタントの言い訳にすぎません。依頼主が満足しなかった、という結果はすべてコンサルタントに責任があります。
以上
【制度職人:新井陽二】


