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コミュニケーションの各論としてのアサーション②
これまで日本人は、“沈黙は金なり”と言ったように、寡黙を美徳としてきた。
しかし、今では人前で自分の考えや意見を積極的に言うように教え、発表することを評価している。児童教育、学生教育、社員教育にもこの考え方は、取り入れられている。その教育の成果は着実に表れている。
しかし、一つの課題が解決されたら、次の課題が出てくる。“話せる“ようになったら、次は、“何を”、“どのように”話すかだ。量の次は、質が求められる。自分の考えを発信する機会が増え、話せるからと言って、何を言ってもよいということではない。ネットの書き込み然り、不毛な議論然り。話し合いが、状況を悪化させる要因にもなる。
次の教育は、アサーティブな話し合いだ。自己主張するなら、『自分も相手も尊重した、責任を伴った自己主張・自己表現』をした方がよい。
自己主張で満足せず、良い結果を生み出す話し合いの“考え方と技術”の教育が必要だ。≪次回に続く≫
コミュニケーションの各論としてのアサーション①
コミュニケーション研修をやる講師は多いだろう。アサーション研修は、どうか。
コミュニケーションの概念は広い。お互いを理解するために、聴き、話し、たずね、理解する。アサーションは、“話す”ことに関する考え方の一つだ。コミュニケーションを総論としたら、アサーションは、各論と言える。コミュニケーションのスキルを細分化して、研修プログラムを体系化することができる。
assertionは、名詞で、“主張・断言”のこと。assertiveは、形容詞で“断定的な、独断的な”と辞書にはある。研修で活用するなら、『自分も相手も尊重した、責任を伴った主体的な自己主張、自己表現』と定義することで、理解してもらえるだろうか。
単に、主張・断言と理解するよりは、教育的価値があるだろう。どのような自己主張であるかが、大事だ。
今日の職場には、様々な人々が所属し、多くの関係者が係わるので、よりコミュニケーションが重要だ。具体的にどうしたら、よいのか?その答えの一つは、アサーティブに話し合うことだ。お互いに、『誠実に』『率直に』『対等の立場で』『責任のある発言』をすることで、お互いを理解し、よい結論を得ることができる。≪次回に続く≫
最もシンプルで実践的な研修効果測定の方法≪最終回≫
研修後に実績が上がっているか、能力が向上しているか、態度が変容しているかは、受講生の上司が知っている。研修効果は、人事評価で確認することができる。
多面観察では、上司も含めて受講生の周囲の人物を対象に、調査を依頼する。しかし、周囲の人たちに負担を強いる上、十分なデータを得られないケースも多い。評価訓練を受けているとも限らないし、的を射たアンケート項目の作成も労力が掛かる。
上司の人事評価に不安を感じるなら、評価者研修を優先すべきだ。上司が部下の研修効果を測定できないということは、人事評価ができないということなので、訓練が必要だ。
目標設定シート、評価要素、評価の着眼点などのツールが不十分なら、新たに作成するか改定する必要がある。効率のよい実績向上や人材育成のためには、目標管理制度、社員教育、人事評価制度を連動させることが重要だ。
人事制度の担当者と研修担当者が話し合って(Meeting)、研修の目的、成果と研修効果を確認する。研修(Education)を行い、人事評価ツール(Tool)を活用して、人事評価制度(System)を運用する中で、その研修効果を測定する。≪以上≫
昨日の『新入職員フォローアップ研修』から想うこと。
昨日、群馬県で『新入職員フォローアップ研修』を行った。県協会の主催で信用金庫の新入職員82名が集まった。
厳しい就職活動を経て入庫してくる職員は、優秀な人材が多い。資質が高いという意味で、仕事ができるという意味ではない。就労経験がないので、先輩職員と同じように仕事ができるわけではない。しかし、学習意欲が高く、何事にも真面目に取り組むので、成長の可能性を強く感じた。
新卒の入庫段階では、これで100点満点だ。この人材を活かす責任は採用した側、指導する側にある。研修講師もその責任の一端を担っているが、私は研修冒頭に『長く安定して働き続ける力を身につけてほしい。』と言った。
職場配属後に先輩が教えることは、“業務”中心であることが多い。しかし、これから長く続く職業人生を安定させるのは、“働く者としての基本行動”だ。どんな職場に配属されようが、どんな上司の下で働こうが、基本行動が身についていれば、概ね対応できる。適度な人間関係を保ち、業務を進めることができる。
大きな成果を期待されない1年目だからこそ、徹底的に基本を学ぶ時間がある。“学ぶべきことを、学ぶべき時に、学ぶこと”が、段階的な成長を促すのだ。新卒正職員で採用される者には、大きなアドバンテージである。キャリア採用や契約職員にはない、着実な職業人生を歩むキャリアのスタートだ。
フォローアップは、やはり必要だ。8か月の経験であっても、個人の成長差は大きい。一例であるが、“正しい名刺交換”が、できる者とできない者がいる。業務ばかりを教えていると、業務以外の“働く者の常識”がもれることがある。自分の業務に“名刺交換”の機会がない者もいるのだ。
これでは、人材の質がバラつき、いずれ業務に支障が生じる。“そんな基本的なこともできないのか?何年目だ?”と、言わなくてすむように入庫1年目には、全員に同じように基本を徹底させる機会が必要だ。
昨日の研修は、受講生の真剣な取り組みと事務局の万全の準備によって、滞りなく進めることができた。帰りの電車の中で連絡をいただいた。来年度の研修実施が決定した、と聞いた。
最もシンプルで実践的な研修効果測定の方法④
実績は、外部環境の影響を直接受けるライン部門だけでなくスタッフ部門にも求められる。全ての部門、個人が実績目標をもち主体的に仕事に取り組むことで全体目標が達成されるようにする。
実績の目標設定は、目標管理制度で運用し、結果は人事評価制度で処遇する。実績の目標達成度合いは、賞与に、能力と勤務態度の査定は、昇給、昇級、昇格に活用する。
スタッフ部門の実績向上のための研修も、目標達成に必要な知識、能力、態度からプログラムを設計する。(スタッフ部門の実績目標は、定量化できなくても、定型業務でも、受け身の業務でも、長期的な業務でも設定できる。)様々な部門から参加者が集まる研修は、最大公約数的な共通の研修目標を設定せざるを得ない。しかし、あくまで実績向上に効果のある目標観と内容にすべきである。≪次回に続く≫