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キャリア研修の憂鬱 ~もっと、考えよう!~

2015年07月27日

 キャリア研修は、教えることがない。

 言葉の意味や手法、モデルの解説はするが、受講生の将来は講師が教えることではない。そういう研修なので、講師はできるだけ“自分を知る”材料や“将来を予測する”ツールに注力する。

 キャリア研修は、自分自身の目標設定によって動機づけできるため、会社としては重要な研修だ。自分の目標を持っている社員は、目の前の苦難にも耐えられるし、何事にも前向きに取り組める。キャリアの節目で受講すべき研修だ。

 問題は、自分のキャリアを深く考えられないことだ。SWOTフレームを使うが記述が少ない。①自分の強みは何か②自分の弱みは何か③どのような機会があるか④どのような脅威があるか。

 そこは、講師が教えられるところではない。(普段から、考えていないからか?時間が足りないのか?)自己分析が不十分だと、よいキャリアプランにならない。

 大切な自分のキャリアなんだから、もっと考えよう!(誰かに教わることではないよ。)

 キャリア開発は、会社が主催している以上、現職で働き続けることを前提とする。(転職を伴うキャリア開発は勧めにくい。)ならば、会社は、キャリア開発の仕組みを提示すべきだ。

 SWOT分析の「機会分析」は、会社にキャリア開発の機会があるかが、ポイントになる。どのような制度を活用して自己実現を図るか、どのような評価を得られれば出世するのか、その情報が無ければ、「この会社ではキャリアが描きづらい。」ということになる。

 結局、キャリア研修の目的を達成するためには、担当者との綿密な打ち合わせによって、キャリア実現の機会やリードする方向、落としどころを決めておくことが必要かも知れない。

 一般の公開セミナーのような“自由なキャリア設計”は、制限される。

 


チャレンジ目標の達成のしかた。

2015年07月26日

 チャレンジ目標の必要性は、前回に書いた。目標達成したいがために目標を下げても意味はない。目標管理の原則は、全体目標と個人目標を連鎖させるため、全体目標が大きくなれば個人目標も大きくなる。

 チャレンジ目標の達成は、難しい。挑戦が常に成功するとは限らないからだ。指示命令による目標設定も目標達成には効果的ではない。部下は、自己管理と創意工夫で目標達成を目指すが、上司にもやるべきことがある。

 部下の目標未達は上司の責任なので、十分な権限委譲と支援を行う必要がある。チャレンジ目標ならなおさらだ。従来の目標は、相応の努力で達成できたがチャレンジのレベルになると部下の意欲、能力や単純に労働時間を増やしても達成できない。

 目標達成のための上司と部下の作戦会議が必要だ。指示命令から支援への転換ができない上司は、部下に圧力を掛け続け不祥事を生む環境を整えていく。

 部下の目標を達成させる支援は、難易度の高いマネジメントなので指示命令しかできない上司には教育が必要だ。(だからプロ・マネジャーの養成が必要だ。)

 部下は、課長の支援を受け、課長は部長の支援を受け、部長は役員の支援を受ける。社長だからできる支援がある。全階層、全部門で協力して全体目標の達成を目指す。

 お互いに協力しながら、自分の役割を果たすことでチャレンジ目標を達成するのが本来の「目標による管理」の進め方だ。

 


チャレンジ目標は、正しいか?

2015年07月25日

 研修では、情報提供として時事問題を扱うようにしている。受講生が興味をもつテーマや研修に関連することを話すことで、理解を深めたり集中を高めるためだ。

 先週の研修は、目標管理がテーマだったので、東芝の不適切会計問題について話した。当日の新聞レベルの情報だが、“チャレンジ”という言葉が引っ掛かった。

 7/21(水)の日経新聞では、「経営トップが、社内カンパニーに対して、“チャレンジ”と呼ぶ過大な収益目標と損益改善要求を課していた。」その結果、不適切な会計処理をせざる得ない状況に追い込んだ、と書かれている。

 こういったケースでは、非常に短絡的に「チャレンジ」という言葉そのものを否定して、よくないものとして認識されることが多い。「やっぱり、チャレンジ目標はよくない」という風潮になる。

 実際に、記事には、第三者委員会は、「再発防止には、“チャレンジ”の廃止などが必要と指摘。」とある。

 目標管理研修での目標設定は、チャレンジ目標を勧めている。見込みの足し算や従来の延長線上で達成が明らかな目標ではなく、“現状から挑戦することで達成可能な目標を設定する”という意味だ。

 東芝の目標が、“挑戦して達成可能な目標”であったのかは、はわからない。目標設定時点で過大な目標だったのか、期中のマネジメントの失敗が原因かも知れない。予測不可能な災害の影響かも知れない。しかし、決算直前の会計操作で予実績の大きな差を埋めるには限界がある。

 今日の企業経営は、競争をしているので事業を継続させるには、チャレンジ目標の達成は必要条件だ。経営者から一般社員まで目標達成のためにチャレンジすることが重要だ。

 チャレンジすることでモチベーションが高まり、発想の転換や創意工夫で成長することができる。チャレンジしない事業は、成長しないので生き残れない。

 要は、組織の現状をよく理解して、適切な目標を設定することが重要なのだ。目標管理の基本なのだが、有名企業でもできていない。

 これからも弊社の研修では、チャレンジを前提とした適切な目標設定と創意工夫による目標達成活動を勧めていきたい。


新しい時代のマネジャー像(7)コーチング②

2015年07月21日

 コーチングが成功する条件の一つは、マネジャーのコーチングスキルにある。コーチング研修では、「質問のスキル」「傾聴のスキル」「確認・承認のスキル」を習得する。

 コーチングは、マネジャー養成の研修体系のコミュニケーション研修の上位研修に位置づけた部下指導研修の中で、指導法の一つとして学習する。

 もう一つの条件は、部下の成熟状況にある。スペシャリストの成長過程における企業人としての成熟状況のことだ。マネジャーに対する敬意ある態度、質問に対して真剣に考える姿勢と能力、真摯に答える姿勢が身についていれば、マネジャーのコーチングはうまくいく。

 スペシャリストは、特定分野の専門性をもつ、これからのビジネスパーソンの姿だが、プロ・マネジャーと同じように成熟に時間が掛かる。長い職業人生を通して専門分野を深めていく。

 しかし、組織で働く以上、専門分野とは別に企業人の基本を習得しなければならない。チームで協力して働くことができる能力がなければ専門性も活かせない。

 新卒のスペシャリスト・コース選択者に基本行動を教えるのはリーダーの役割だ。当面は、アシスタント的な業務を担当しながら、組織で働く基本行動をリーダーから学び、専門分野を選択しながらスペシャリストを目指す。

 マネジャーのコーチング対象者は、一定のレベルに成熟したメンバーだ。自律の意識があり、ある程度の経験があり、自ら考える力があり、マネジャーに対する態度を身に着けた者を対象とする。

 コーチングは、汎用性の高い指導法だが、条件を整えることで、より効果を発揮する指導法である。


新しい時代のマネジャー像(7)コーチング①

2015年07月20日

 これからのマネジャーの指導法は、コーチングとカウンセリングが中心となる。

 競争が激しい市場で優位に立つには、大量の業務をスピーディに高品質の処理をしなければならない。業務遂行を担当するメンバーには専門性が求められ、スペシャリスト化が進む。

 マネジャーが専門業務を、率先垂範やティーチングで指導することは難しい。マネジャーの実務経験と現在の業務に差異があるためだ。また、現場の業務は常に進歩しておりマネジャーが全てを把握し、指導することは不可能だ。

 現場の実務指導は、一階層下位のリーダーの役割になる。新しい時代のマネジャーの役割において実務指導の優先順位は高くない。

 これまで管理者の役割であった実務指導は、コーチングによる支援に代わる。コーチングを成功させる重要な能力は、状況理解力と判断力と決断力である。

 マネジャーの支援は、スペシャリストの話を聴き、状況を理解し、スペシャリストに考えさせ、スペシャリストの提案を判断し、実施を決断する、ことになる。

 マネジャーは権限を行使して、メンバーの業務を承認する。その遂行責任はメンバーにあり、結果責任はマネジャーにある点は、従来と変わらない。

 コーチングのスキルを習得すれば、実務経験がなくとも、あらゆる職場でメンバーを効果的に支援することができる。どうすれば成果が上がるか、“答え”は、スペシャリスト自身がもっている。

 


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