上司と部下は、“何を”共有すべきか。

 どちらを対象とした「コミュニケーション研修」であっても、相手との相互理解を目指すわけだから、その共有項目をはっきりさせる。

 ポイントは、上司部下の基本的な関係は仕事の関係であることから考える。必要以上に仲良くなる必要はないし、知り合う必要はない。それでも、十分快適な仕事の関係をつくることができる。(従来にはない考え方だが、この考え方が今日の上司部下間の問題を未然に防止するポイントでもある。)

 企業人研修でいう「コミュニケーション」は「ビジネス・コミュニケーション」である。両者が協力して仕事を進めるための情報を共有することが目的である。

 1枚のワークシートに上司と部下の欄を設け、仕事に役立つお互いがもっている情報を書き出す。上司の欄には、経営方針、経営計画、事業ビジョン、職場の使命、方針、目標、評価基準、業務計画、業務内容、手順、手続き、優先順位など上司が決めたこと、上司が先に得る情報が並ぶ。

 部下の欄には、担当業務、進捗状況、目標達成率、モチベーション、チームワーク、顧客情報、取引先情報、行動計画など現場の情報が並ぶ。

 お互いの性格や生年月日、自宅住所、個人メールアドレス、通勤ルートなど個人情報は、重要度の優先順位が低い。(個人情報を知っていた方が、人間関係が作りやすく、仕事がしやすいように思えるが・・・)

 仕事に必要な「共有項目」を明確にすることで、余計な気を使わず、遠慮せず、忘れず情報を共有することができる。

 「共有項目」の確認ができていないと、お互いに不満がつのり、疑心暗鬼になり「人間関係」が悪くなる。仕事を中心とした情報共有は、最低限必要なコミュニケーションである。お互いが許せば個人情報の共有は任意で行えばよい。

 職場には、「何でも知りたがり、分かり合いたい人」と「できるだけ知られたくないし、知りたくない人」が混在している。その幅は、大きくなってきている。価値観の多様化の一つだ。

 最近は「個人情報」に神経質になる社員がいることも事実だ。一方、金融機関の不祥事(一般企業でも)を未然に防止するためには、部下の個人情報の管理は上司にとって必要だ。会社のためにも、上司のためにも、そして部下のためにも。

≪続く≫

 

 

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