【上海紀行④】

 上海は、嗅覚に訴えてくる街だ。 独特の匂いが、息を吸うごとに記憶を重ねる。やがて、嗅覚もマヒして感じなくなるのだろうが、それは、馴染むと言うことなのか。上海の一部になると言うことなのか。

 上海の空気がまとわりついて、否応なしに体に入り込む。食べ物の匂いだろうか、車の排気ガスだろうか、この街の人々のため息か、海を渡ってくる風なのか。街が呼吸している。

 上海は、今日も元気に生きている。

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