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新しい時代のマネジャー像(4)動機づけ
プロ・マネジャーの最低条件は、本人のやる気だ。「働く人の基本的な欲求」は以前に書いた。マネジャーの立場は、誰かが動機づけする必要はない。
本人のキャリア選択の問題だからだ。その責任と立場から当然、一般社員より高報酬で相当な権限を与える。成果によるインセンティブも必要だ。(一般社員とあまり変わらないなら、最低限の動機づけもできない。)
多くの日本企業では、最低限の条件である「やる気」のないマネジャー候補が多い。一般社員はマネジャーになりたくないと言う。マネジャーになりたくない社員が、マネジャーになったら成果は上がらない。
「研修で、何とか・・・」無理な話だ。ほとんどの社員は、本音を言っている。「なりたくない」のだ。本人にとっては、「苦痛」なのだ。実際に、マネジャーになって「心の病」にかかる人が多いという。
最も確実な動機づけは、自分自身による「意思決定」だ。自分の生き方を自分で決めた時、自分によって「動機づけ」される。多くのマネジャー候補は、この経験がない。受験勉強して大学に入り、内定をいくつももらい、就職して昇進する。
環境が整っている分、(余裕ある)選択はするが、ゼロから創る経験は少ないだろう。キャリアは、本来自分で創るものだ。
マネジャーにならなくても、プライドをもって働き続ける仕組みが「複線型人事」だ。スペシャリストへの道がある。(ただし、自己実現には相当の専門性が求められる。)
全ての社員を幸せにする人事制度は難しいが、マネジャー、スペシャリスト、メンバーとして働き続ける環境はつくれる。役割によって人員を配置し、処遇する。
マネジャーが足りないなら、社外調達だ。そこが、プロ・マネジャーの主戦場だ。
制度☓教育が必要な理由。日経新聞一面から。
6月29日(月)の日経新聞の一面。『働き方 NEXT女性が創る』
「女性に優しい会社」の資生堂。20年以上前から「育児休業」や「短時間勤務制度」を導入している。ここにきて、厳しい態度に転じた。とある。
「忙しい夕方、同僚に感謝の言葉もなく・・・育児中の優遇が既得権益化し・・・」
制度や仕組みが悪いわけではない。よい制度も「運用教育」をしないから成果が出ない。「女性に優しい制度」を使いこなす人材の成熟に原因がある。なぜ、「優しい会社」が「厳しい態度」を取らざるを得ないのか。
「優しい制度」に社員が甘えると逆効果が生まれる。「優しい制度」を「厳しい意識」で運用すると相乗効果が生まれる。
一般論だが、制度設計と社員教育の部署が別だと、このようなことが起きる。制度と教育は常に一体化させて考え、運用することが成果を上げるポイントだ。
次回「マーケティング研修」追加情報。
研修が終わるたびに、毎回「振り返り」をして改善を検討する。だから、数年前の研修が全く違うプログラムになっている。講義、討議、実習、演習は増やしては削り、必要な内容だけを残す。
次回のマーケティング研修では、「AIDMAの法則」を追加する。
「AIDMAの法則」は、一般的によく知られている。1920年にサミュエル・ローランド・ポールが著作で紹介した広告宣伝における消費者心理のプロセスだ。古典的だが、今でも使える。
消費者は、Attention(注意)Interest(興味)Desire(欲求)Memory(記憶)Action(行動)の順で購買に至る。
使いどころは、TVCM作成実習の提示の場面だ。TVCMの視聴分析とシナリオと絵コンテを創る際のモデルとして紹介する。15秒でターゲットを思うように行動させるには、どのようなCMを作成したらよいか?「0」から創造する作業は、大変で時間も掛かる。モデルを提示すれば、作業効率も学習効果も上がる。
自ら考えることが、本当の学習だ。その学習を支援するのが研修プログラムだ。
CMを考えるマーケティング研修プログラム。
先週のマーケティング研修では、みんなで「プロモーション戦略」を考えた。
研修は、ケースメソッド方式を採用した。建設・住宅業界の有名企業を扱った、総合宣伝部のマーケティング戦略のケースだ。
マーケティングの基礎知識、理論、手法を講義と実習で学び、最後に「プロモーション戦略」としてTVCMを考えた。TVCMは、15秒の短い時間でマーケティングの要素が凝縮されている。
最初にクライアント企業が作成、放映したTVCMを視聴する。このCMは、①誰に②何を訴求しているのか、ディスカッションする。各グループが発表した。
その後、グループでTVCMを考えた。
①なぜ(使命)②誰に(ターゲット)③何のために(ニーズ)④何を(商品・サービス)⑤どこまで(成果目標)⑥どのように(シナリオ・キャスト・場面・音楽など)伝えるか、考える。
ホワイトボードにコマ割りをして絵コンテを描き、代表者が発表した。
マーケティング研修は、統計や理論に終始するか、商品、サービスの事例の情報提供に偏るプログラムが多い。今回のプログラムは、シナリオを考える人、キャスティングを考える人、音楽を考える人、絵を描く人、それぞれが協力して盛り上がった。
こんな研修プログラムだってあるのだ。
新しい時代のマネジャー像(3)マネジメント能力
新しい時代のマネジャーとは、プロフェッショナル・マネジャーだ。自ら業務を遂行するのではなく、メンバーを活用して目標を達成する。マネジメント能力は、業界も組織の規模もメンバーも業務内容も問わない。だから、異業種に転職しても成功する。
さまざまな職場でマネジメント経験を積み、より責任のある職場へ移り、成果を上げながら報酬を上げていく。そのステップアップがプロ・マネジャーのキャリアだ。
組織から与えられた資源を有効に活用し、目標を達成するのがマネジャーの役割だ。自分に実務経験がなくとも、経験のあるメンバーを上手に使う能力があればよいのだ。
組織に所属しなくとも、期間契約をして成果を上げて報酬を得る。コンサルタントの役割と同じだ。
マネジャーには、強い目標達成意欲と問題解決力、メンバーとのコミュニケーション力とモチベーションを高める能力が必要だ。
日本企業の問題は、マネジャーのキャリアを選択する人材が少ない上に、育てていないという点だ。
≪続く≫