目標管理制度をつくり、運用段階に入ると課題が見えてきます。最大の課題は、「目標を決められないこと」です。目標管理マニュアルには、目標管理の考え方、目標の定義、目標設定の手続き、目標管理シートの書き方、評価の計算式など「目標管理の運用方法について」書きます。
私の制度コンサルティングは、制度設計の後に必ず運用教育(研修)をおこないます。
マニュアルを教材に研修をおこなうのですが、各部門、部署、社員個人の目標は、会社や所属長がつくるものです。
目標管理では、社員一人一人が自主的に目標を考え、所属長と面談のうえで決定することを推奨していますが、これがうまくいきません。
評価者研修の段階で、部署の目標、部下の目標が設定できない、という事態が起こります。(実習をやればすぐわかります)
もちろん、適切な目標設定は、過去実績や傾向分析、市場調査のうえで精査して決定する必要があります。また事務・管理部門も事業計画に基づいて会議による部下の同意が必要となる場合もありますので、一概には言えません。
少なくとも研修で決めることではありません。(それ以前の話です)
「私の部署の目標とは、何ですか?」「私の部下の目標はどれくらいが適当でしょうか?」それ、講師に聞きますか?という話ですが、実際の話です。
私は、評価者研修で「あなたは、これまでの人生でどのような目標を立てましたか?」という課題討議をしました。W.Bを見て回ると、ほとんど書けていません。
学校の受験や趣味、スポーツ競技などなんでもいいのですが、40代、50代の人たちが自分の目標を立てた経験がない。(目標が分からない原因は、これなのでしょうか?)
会社に入ってから上司の指示に従い、自分の目標を他者に決められて働いてきた会社員人生。あまりにも長く、「言われたことを、どう処理するか」ばかりを考えてきた人生。「何をするか」「どこまでするか」を考えずに生きてきた人生。
評価者になったからといって、できるわけではないようです。
目標管理マニュアルに、「あなたの部下の目標は、これです」とは書けません。せめて、参考になる「例え話」を掲載するぐらいです。
制度や手続き、目標管理シートに問題があるとは思いません。やはり制度を使いこなす運用力が不足しています。制度を使いこなすための「教育」で対応することになります。
人事制度の導入、改定は「制度」と「教育」のセットで進めましょう。《続く》
【制度職人:新井陽二】


